こんにちは。
「彼(敵)を知り己を知れば百戦して殆(あや)うからず」という言葉があります。
これは孫子の兵法(謀攻篇)からの一節ですが、
敵の実力や現状をしっかりと把握し、自分自身のことをよくわきまえて戦えば、
なんど戦っても勝つことができるという意味になります。
この孫子の兵法は、他の言葉も含め、現代のビジネス社会でも応用されていますが
就職活動における企業研究にも大切なこととしてそのまますっぽり当てはまるのが
冒頭の言葉です。
ここでは彼(敵)を競合企業、己を本命の志望企業と見てみましょう。
例えば昨年、実際にこんな学生がいました。
この学生は旅行会社A社を第一志望にしていたのですが、
合同企業説明会や個別の企業説明会では、競合であるB社、C社、D社にも熱心に訪問していました。
ここで、そもそもA社を志望しているということは旅行業界志望なんだから
B社、C社、D社も受験するからだよね…と見ることもできると思います。
しかし本人はそのつもりで競合他社の説明会に参加したわけではありませんでした。
それはA社の他社にはない強み、いわゆる「オンリーワン」を見つけ出すための行動だったのです。
そのために競合B社、C社、D社それぞれの強みや課題を見つけ
本命企業であるA社と各社との比較分析を行ない、
A社が他社に勝っているところ、負けているところを明確にしていったわけです。
そしてこの動きで見つけ出せた「オンリーワン」を、
志望動機のなかで「中でも貴社は~だと思います」と優れた企業分析コメントで展開し、
最終的に見事、内定を勝ち取り、いまA社で働いています。
ちなみに面接での「当社の業界内での課題は何だと思う?」という質問にも
的確に答えることができたようです。
競合企業のことを知っているからこそだといえますよね。
では、逆にいまひとつの企業分析とはどのようなものかというと
一つは、その企業だけに限らず、業界全体や同業他社でも同じことがいえるというもの。
もう一つは、その企業が自らホームページや説明会で発信している情報の丸写しとなっていて、
自分自身で分析していない(いわゆる盗作ともいえる)ものだと思います。
特に銀行などの志望動機を見ていると、同業他社にもいえるような内容が多く
なぜこの銀行でなければならないのかということを明確に示せている人はほとんどいません。
社会(マーケット)を知り、業界を知り、他社を知り、そして企業を知る。
本来、企業研究にはこのように時間がかかります。
ここでしっかり時間をかけるかどうかが、成果の差がつく分岐点になると思います。